CINQUE / MICHELANGELO : Uomo giubottoDecember 16th, 2018

Buonasera Ragazzi!
皆様こんにちは。
本日12月15日、神宮前はどんよりとしていてなんだかすっきりしない空模様です。
昨日、仕事終わりに表参道を通ったのですがイルミネーションがとても綺麗でした。
昨年とはまた一味違うセッティングで、車で走る私にはまるで「ワープゾーン」を通過する錯覚を覚えました。
参道沿いには恋人達が幸せそうに寄り添い 手を繋ぎ 美しい表情でその空間 その瞬間を共有し合っているさまは何とも心温まる光景でした。
そして昨日はクリスマス前の週末という事もあり巷では忘年会が多かったようです。
今年は諸事情があり忘年会への出席はゼロ、毎日朝から夜までお店に籠っております。
起床→店→帰宅就寝→起床、、、、、 これの繰り返しで刺激はありませんが、この場に立ち続けている事をとても幸せなことだと心から感じております。
こなすべき仕事が膨大なのは顧客様はじめ、お取引先様、関係者様の温かいご支援のお陰と日々痛感し心から感謝する毎日です。
この場をお借りし、改めて心より深く感謝申し上げます。
という訳で今年は仲間達とバカ騒ぎすることが1回も叶いませんでしたが、SNS等で皆の楽しそうな様子を見るだけで幸せな気分になる今日この頃です。
皆様も忘年会やクリスマス、年末に向けお付き合いも多くなると思いますので、くれぐれも暴飲暴食にはお気を付けくださいませ。
それでは本日の本題へ入ります。
過去3話(5回)に渡り、ブランド誕生の歴史やポリシーなど、そして前回は番外編をお伝えして参りました。
本日はBENHEARTがフィレンツェで爆発的に広まった原因の一つである、シワ加工レザーフーディージャケット【MICHELANGELO 】(ミケランジェロ)のご紹介をさせて頂こうと思います。
ミケランジェロの詳細をお伝えする前に先ず以下のビデオをご覧ください。
もし可能であれば、ぜひ音声もお聞きください。
レザーからこのような「音」が鳴ることに興味を持って頂けるかと思います。
いかがでしたか? 多少なり興味を持って頂けましたでしょうか?
このミケランジェロ、正式な製品名は ’MICHELANGELO STROPICCIATO’ と言います。
STROPICCIATO(STROPICCIARE)とはシワの事を言いますので、直訳するとシワのミケランジェロとなります。
早速ですがこのミケランジェロの面白いところ、それは1着ごと、全く異なるシワが入っています。
私の経験ですが、レザージャケットでシワ加工を付帯している製品はイタリア、日本問わず今のところ見たことがありません。(私の調査不足かもしれませんが…)
通常、この手の製品は製作する前に生地や原革に対して機械にて同一のシワ加工やダメージを入れてしまうのが一般的です。
例えばダメージの入った大量生産向けのデニム等を例に挙げれば分かりやすいかもしれません。
しかしこのミケランジェロはレザーフーディーの完成後に、オリジナルの加工施術を行う事で1着ごとにオリジナルのシワを付けていきます。
製品製作後に特殊な加工を加え職人数人できつく縛り込みます。更に直射日光はが当たらない温度と湿度がなるべく一定の場所に数週間保管したのち完成します。
初めにシワ加工等を与えた製品は単純に作ればよいだけですが
実はこのシワ付けがとても大変な作業です。
私が昨年の夏、HICHAM BENMBAREKが来日した際、再度製品について質問をしました。それは、、、
「ジャケットを製作する中で一番難しい作業は何ですか?」
そして
「一番面白い作業は何ですか?」という質問です。
この対照的な私の質問に対して彼は少し間考え、そして深い溜息をした後このように答えました。
(スカンディッチBENHEART工場にて製品説明をするHB)
’この質問ではジャケットについて聞かれているが、この話をするならば BENHEART の物作り そのもの の話しをすることになるのでそれを踏まえた上で聞いてほしい。
ジャケットについて、一番難しい作業と言われれば、それは全てだよ。手作業で製作するのだから簡単な作業などない。
俺達の仕事は機械では絶対に不可能で、かつ、目に見えない場所も手で縫い込んでいるから。
例えばBENHEARTの製品はネックタグでぶら下げれるように強度を増している。その為に通常のジャケットよりも厚い革を仕込んであるし、ライニング(裏地)もシーズンやジャケットのイメージに合わせた柄や素材をナイロン製、コットン製、どれを使用するか?また中東向けの様にリネン製にする場合もある。
一般的な大量生産品は裏地も全て同じだから機械でできるけれど俺達のは無理なんだ’
更に続く
’それと大切なことは他のブランドと比較して一番難しいとか簡単とか、そんなことは全くどうでもいいことなんだ。
大切なのはBENHEARTはBENHEARTであるべき!ということだけ。
俺達の製品が他より絶対に勝ることもあれば必ず劣ることもある。
単純にBENHEARTの手法と品質を守ることだけに集中すればいいんだよ。
でも一つだけ言えることは、俺たちのジャケットはトレンドなんかまったく考えていないってことさ。
トレンドに合わせて物を作ると、どうしたってほとんど似てくる。あれもこれも全て似たようなものばかりだろ?
そしてトレンドが過ぎれば「型落ちだ」とか「古くさくなった」という理由で使用が減ったり、処分されたりする。
革質はピンキリだけど、基本動物由来だろう? それを大切にしないという考え方は肯定できない。人々はトレンドしか見えていないし、トレンドは去るものだと潜在的に認識している。だからトレンドの物は安くて済まそう とか数回しか着ないからいいや となる。
そんなレベルに俺達は付き合ってられないし、そういう人達に届けようなんて気は少しもないんだよ。
だから俺達はコレクションを作らないだろう? 毎年のコレクションやショーなんて俺達には必要ないのさ。
俺達はトレンドに合わせるのではなくてBENHEARTというトレンドを作っている。それはとても難しいことで簡単ではないよ。けれど大量に作って大量に蒔く仕事は他の人に任せるさ。俺なんかよりもビジネスが上手な人達にね。
だからコストがかかってしまうこと、つまり他社じゃ絶対にやらない箇所にBENHEARTの価値はあるし大きなプライドが詰まっているんだ。
これがBENHEARTなんだよ’
そう、これが BENHEART なのです。
一見、強気に聞こえる方も多いかもしれません。しかし私達が大切にしている事は、凄くクリアです。
以下はBENHEARTのスタッフ心得のようなものです。これをお客様に可能な限りお伝えする様にしています。
・レザー製品=動物由来=「死」の上に成り立つ=粗末にしない=生涯使用を可能にする=品質を高める
・伝統工芸品としての革製品を製作する
・個々に違う個体(動物=革)の表情を最大限に引き出す
・古からの手法を可能な限り保守する
ただこれだけです。
話しをミケランジェロに戻しましょう。
このミケランジェロはBENHEARTが誕生して以来、今も販売数量TOP3の人気製品なのですが、この数年間で数多くのジャケットが製品化しても尚、ここまでの人気を維持できるのでしょうか?
その答えを正確に知る者は誰もいません。
単純に売れているからTOP3なのである。 それが一番の答えなのでしょう…
HICHAM BENMBAREK でさえ明確に答えたことは一度もないのですから。
しかし私達が「そこ」に何かの答えを出さなくてはならない!となった場合はこう答えます。
それは実際の販売時におけるお客様へのご案内と同じになってしまいますが、、、
先ずこのミケランジェロの特徴は
1 1着ごとに異なる表情をもっていること
2 レザー素材では世界的に見ても珍しく希少が高いシワ加工フーディーであること
3 使い続けることで紫外線を浴び、日焼け痕が残る、最終的に自分だけの模様ができていく
(但しこれには相応の着用期間が必須)
4 オーナーが望んだ場合、常に新しいシワを新品時同様に入れることができる
(毎シーズンビデオの様なパリパリのシワを入れることが可)
これがミケランジェロが持つ特徴ですが以上の事を顧客様目線に変えて見ると実に分かりやすくなるのです。
1 同じ製品に見えても全く違う自分だけのシワ加工であり、オリジナル同様である
2 一見、レザーには見えない為、ファッション感度の高い人たちの目に留まる。また質問されたりする。
3 長い期間使用し続ける意味を自分に与え、かつ将来的に歴史を噛み締める事ができる
4 3は達成できなくなるが、自分の好きなタイミングでいつでも新鮮でメリハリの強いシワ加工を表現できる
となります。
これらの理由が顧客様にとってのメリット(ご購入理由)になっているのではないか?と弊社は認識しております。。
実際 BENHEART東京におきましても、この4年間でミケランジェロの販売数は年々増加しており、また各社取引先様、一般のお問合せにつきましても群を抜いていることから人気の高さが伺えます。
特に日本人ユーザーの皆様(弊社の直営店にて販売したお客様を指す)におきましては、2と4の理由からご購入される方が特に多いです。
やはりファッション感度の高い方々にとりましては、着用するアウターに「意味」があればあるこそ「自信」を身に纏う事に繋がりますし、その説明を求められた時に話すことでさえ楽しくなるのではないでしょうか。
ありふれたブランドのありふれた製品よりも、個性や楽しみ方の違いをたった1着のジャケットに込められる事はユーザー目線としてはとても貴重です。
ブランドが押し付けるのではなく、ユーザーご自身が発信したくなってしまう、、、 質問されたくなってしまう、、、 そんな製品なのかもしれません。
また、ユーザーの身体に合わせて馴染んだ革は、2度と製作時(パターン=型)に戻ることはありません。
その馴染んだジャケットに新鮮なシワ加工を施し、シーズン前 シーズン中 シーズン終り
つまり いかなるどんな時でもユーザーの任意で新品状態に保てる ことはとても有意義です。
シーズン始まりは「パリパリ」とした力強いシワ
途中でシワはうっすらと落ちていき、革は段々と柔らかくなり
シーズン終了時にはそのシワも可動域に合わせて馴染む。不可動域はシワが強く、可動域は優しく、、、
こんな遊び方を可能にするフーディーが他にあるのでしょうか… と自社製品ながら思ってしまいます。
またコーディネートの話になりますが遊び心あるファッショニスタや洒落たイタリア人はこの上からサラリと薄手のコートを羽織ったりしています。
初見は「えっ!」と感じるのですが、目が慣れてくると凄く素敵なのです。
そして最もカッコいい瞬間はレストランやBARなど、お店に入った際のコートを脱ぐ瞬間なのです。
経験上、イタリア人は新しいお客様が入店すると、ファッションチェックをしているのか、知り合いか確認しているのか良く分かりませんが、凄く他人を見ます(偏見ならごめんんさいですが(笑))
大抵の方は座席に案内された後にコートを脱ぎ背もたれに掛けたりするのですが、その瞬間に ’他人の目’ がピークに達します。
とても特異な着用法に聞こえるかもしれませんが、さすがイタリア人!ファッションの中に遊び心と個性が詰まっています。
果たして日本人に似合うかどうかは自信ありませんが、そんなこと言ってしまったら現在の日本におけるファッションの根底の全てが覆されてしまいます。
生憎、写真を持っていないので、年末からの出張の際にパシャリとして参りますので、後日ご報告させて頂きます。
皆様にもお試し頂きたい製品ですので、お近くお立ち寄りの際は是非 BENHEART TOKYO へ!!
皆様にお会いできることを楽しみにしております!
本日はシワ加工レザーフーディージャケット MICHELANGELO STROPICCIATO をご紹介させて頂きました。
次回は、、、、 毎度のことながら未定です(笑)
それでは皆様、また次回にお会いしましょう!
Grazie mille
Buonaserata!